抵抗を感じる飼主様もいらっしゃいますが、「子供が欲しく、この子の子供でないと!」といった強い想いがなければ、男の子なら去勢手術を、女の子なら避妊手術を行うことで様々な病気を予防できるからです

中高齢に差し掛かると様々な病気になり、手術をしたくてもできないことや、性ホルモンが増悪因子となるような病気では避妊・去勢手術が必要となりますが、持病を抱えたうえでの麻酔と手術はリスクが跳ね上がることあります。

避妊・去勢手術の時期は6カ月齢頃とされております。特に小型犬の場合は乳歯が残ることが多く、乳歯の抜歯には麻酔下で行いますので、避妊・去勢手術時に併せてお勧めしております。(涙やけがひどい場合はご希望により鼻涙管洗浄もしております)

また、当院での避妊手術の場合は原則として卵巣と子宮を摘出する術式をおこなっております。

 乳歯が残ると永久歯との間に食渣が隙間に残りやすく、歯石の原因となります。最近では歯石は病原菌の塊であるため、口腔内の出血部位から病原菌が全身へばらまかれ、病気のきっかけになっているといわれるようになっております。

 

去勢(雄)のメリット・デメリット

  メリット

  ・多頭飼育の場合は繫殖力を奪うことで多頭飼育崩壊を防ぐ

  ・攻撃性やマーキング・スプレー行動の治療(野良ネコちゃんは喧嘩が減ることでエイズや白血病の罹患リスクの低下)

  ・前立腺肥大と腫瘍、肛門周囲腺腫、会陰ヘルニア、精巣腫瘍など男性ホルモンが増悪因子となる病気の発症リスクの低下

  ・精巣の外傷、会陰尿道造婁術、てんかんの制御、潜在精巣の場合は精巣腫瘍の発症リスクが10倍以上

 

 デメリット

  ・テリトリー意識や運動量の低下により必要なカロリーが1525%減るため、肥満になりやすい。

  ・ごくまれに術後に尿失禁がみられることがある。

避妊(雌)のメリット・デメリット

 メリット

多頭飼育の場合は繫殖力を奪うことで多頭飼育崩壊を防ぐ

・尿マーキング、放浪(脱走)、偽妊娠時の警戒性が強くなることによる攻撃性の防止

・卵胞・卵巣嚢腫、持続発情、卵巣腫瘍(癌)などの卵巣疾患、子宮水腫、子宮蓄膿症、子宮粘液症、子宮内膜過形成、平滑筋腫などの子宮腫瘍(癌)、子宮捻転、子宮脱、子宮破裂などの子宮の疾患、膣過形成、乳腺腫瘍(癌)、肛門嚢腺癌などの女性ホルモンが増悪因子となる疾患などの発症リスクの低下が挙げられます。また、ステロイドホルモンが病状に影響するクッシング症候群や糖尿病の軽減も挙げられます。

 

デメリット

 ・女性ホルモンによる食欲抑制効果がとけることで食欲増進による肥満傾向

 ・ごくまれに術後に尿失禁がみられることがある。